FP3級 学習ページ|CH02 リスク管理

生命保険の仕組みと契約

生命保険料を決める3つの予定基礎率

生命保険は、多くの人のデータから死亡などの発生率を見積もる大数の法則と、保険料や運用収益の収入と保険金・経費などの支出が全体として均衡するようにする収支相等の原則を基礎にしています。

保険料の計算では、予定死亡率、予定利率、予定事業費率の3つの予定基礎率を用います。予定利率が高くなれば、運用収益を多く見込めるため、一般に新規契約の保険料は低くなります。反対に予定利率が低くなれば、一般に保険料は高くなります。

保険料は、保険金などの支払いに充てる純保険料と、保険会社の事業運営に必要な経費に充てる付加保険料からなります。純保険料は予定死亡率と予定利率、付加保険料は予定事業費率をもとに計算されます。

純保険料は将来の保険金や給付金の支払いに充てる部分で、付加保険料は保険会社の事業経費などに充てる部分です。

3予定率=死亡・利率・事業費。付加保険料は予定事業費率

剰余金と配当金

予定死亡率・予定利率・予定事業費率にもとづく見込みと実際の結果との差などによって剰余金が生じることがあります。その剰余金を契約者に還元するものが配当金です。

配当金がある仕組みの保険でも、必ず配当金が支払われるわけではありません。また、配当を行わない無配当保険もあります。

保険会社が剰余金を契約者に還元する配当を契約者配当金といい、株式会社の株主配当とは別のものです。

配当金=予定と実際の差などから生じた剰余金の還元。ゼロの場合もある

責任開始日・払込猶予期間・失効と復活

保険会社が契約を承諾した場合、保障は一般に申込み・告知(診査)・第1回保険料の払込みの3つがそろった日から始まります。この日を責任開始日といいます。

2回目以降の保険料が払込期日に払えなくても、払込猶予期間のうちに払い込めば契約はそのまま続きます。猶予期間を過ぎても払込みがない場合、解約返戻金の範囲で保険料を立て替える自動振替貸付が使えなければ、契約は失効します。

失効しても一定期間内であれば、告知・診査を受け、その間の保険料などを払い込んで契約を復活できる場合があります。復活後の保険料は失効前と同じで、新しい契約に切り替える転換とは扱いが違います。

払込期日を過ぎても、払込猶予期間内に保険料を払い込めば、契約は失効せずに継続します。保険料の払込方法には、月払・半年払・年払・一時払などがあり、利用できる方法は商品によって異なります。保険料の払込みがないまま猶予期間が過ぎたとき、解約返戻金の範囲内で保険会社が保険料を自動的に立て替える仕組みを自動振替貸付制度といいます。約款には免責事由が定められており、契約が有効でも免責事由に該当すると保険金が支払われない場合があります。生命保険では、保険料を負担して契約する契約者、保障の対象となる被保険者、保険金を受け取る受取人を区別します。

責任開始=申込み・告知・第1回保険料の3つがそろった日。復活後の保険料は失効前と同じ

払済保険と延長保険を見分ける

保険料の払込みを途中でやめても、解約返戻金を利用して保障を続けられる場合があります。

払済保険は、解約返戻金をもとに保険料の払込みを中止し、保険期間は原則そのままで、保険金額を小さくする方法です。

延長保険は、解約返戻金をもとに一時払の定期保険へ変更し、死亡保険金額は原則そのままで、保険期間を調整する方法です。一般に各種特約は消滅します。

延長保険は「延長定期保険」とも呼ばれ、解約返戻金を一時払保険料として定期保険に変更する方法です。

払済保険と延長保険の見分け方。例題: 保険金額1,000万円・65歳満了の保険で、払込みをやめ、保険期間はそのままで保険金額を小さくして保障を続ける方法は? 図: 高さを保険金額、横の長さを保険期間として、もとの保険・払済保険(期間そのまま・金額が小さくなる)・延長保険(金額そのまま・期間が変わる)を並べる。答え: 払済保険。こう聞かれたら: 保険期間はそのまま・金額が小さく→払済保険、保険金額はそのまま→延長保険、一時払の定期保険に変える→延長保険、延長保険の特約→一般に消える。

払済=期間を残して金額↓、延長=金額を残して期間を調整

更新・転換・契約者貸付

更新制度のある定期保険などは、所定の範囲内で、一般に更新時に改めて健康状態の告知や診査をせず保障を継続できます。ただし保険料は更新時の年齢などで再計算されるため、一般に高くなります。

契約転換は、現在の契約の積立部分などを新しい契約に充当して切り替える仕組みです。転換後の保険料は、転換時の年齢や保険料率などをもとに計算されます。

契約者貸付は、解約返戻金の一定範囲内で保険会社から貸付けを受けられる制度です。死亡保険金額そのものを上限として借りる制度ではありません。

今の契約の積立部分などを新しい契約の一部に充てて切り替える方法を契約転換制度といいます。解約返戻金の一定範囲内で保険会社から資金を借りられる制度を契約者貸付制度といいます。

更新は通常再告知なし・保険料は更新時年齢。貸付は解約返戻金の範囲

本番の形で解いてみる

学科・○×式(日本FP協会 2026年5月の公開問題 学科問6と同じ形)

延長保険は、保険料の払込みを中止し、解約返戻金をもとに元の契約と同額の死亡保障を持つ定期保険に変更する方法であり、保険期間が元の契約より短くなることがある。

正しければ○、誤っていれば×。

答えと解説を見る

正解: ○

延長保険は、解約返戻金をもとに元の契約と同額の死亡保障を持つ定期保険に変更する方法で、保険期間は元の契約より短くなることがある。まちがえやすい点: 保険期間を維持して保険金額を小さくする払済保険と区別する。

4択の確認問題

生命保険の基本的な仕組みに関する記述として、最も不適切なものはどれか。

  1. 予定利率が高いほど、保険料は低くなる。
  2. 予定事業費率が低いほど、保険料は低くなる。
  3. 予定死亡率が高いほど、死亡保険の保険料は低くなる。
  4. 生命保険の保険料は、予定死亡率・予定利率・予定事業費率の3つの予定基礎率をもとに計算される。
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正解: 予定死亡率が高いほど、死亡保険の保険料は低くなる。

予定死亡率が高い(死亡者が多いと予測)ほど、保険会社が支払う死亡保険金が増えるため、死亡保険の保険料は高くなる。予定利率が高いほど運用益が大きくなるため保険料は低くなる。

4択の確認問題

生命保険の各種制度に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

  1. 延長保険とは、保険料の払込みを中止して解約返戻金をもとに、元の保険期間と同じ期間で保険金額の小さい定期保険に変更する方法である。
  2. 生命保険の保険料払込猶予期間は、月払いの場合、払込期月の翌月末日までである。
  3. 保険料の払込みが困難になった場合、契約を解約せずに保険料の払込みを中止して保険期間をそのまま継続できる払済保険という方法がある。
  4. 契約転換制度を利用した場合、転換後の保険料は転換時の年齢・保険料率をもとに計算される。
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正解: 延長保険とは、保険料の払込みを中止して解約返戻金をもとに、元の保険期間と同じ期間で保険金額の小さい定期保険に変更する方法である。

延長保険は、解約返戻金を保険料とみなして同額の定期保険に変更し、保険期間が元の契約より短くなることがある。「元の保険期間と同じ期間」という記述が不適切(保険金額と期間のどちらを維持するかが払済と延長の違い)。払済保険は保険期間そのままで保険金額が小さくなる。

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どこから読むかはFP3の勉強の順番(過去の傾向から)にまとめています。試験に出る数字は勉強の順番のページの一覧にまとめています。このページの数字・制度は、2026年4月1日時点の法令などにもとづきます(2026年10月確認)。