FP3級 学習ページ|CH01 ライフプランニングと資金計画
社会保険
社会保険の全体像と医療保険の受け方
社会保険には、医療保険・介護保険・年金保険・労災保険・雇用保険があります。公的医療保険は、主に会社員などが入る健康保険、自営業者などが入る国民健康保険、原則75歳以上が入る後期高齢者医療制度に分かれます。
医療機関では、健康保険証として利用登録したマイナンバーカードであるマイナ保険証を使うのが基本です。マイナ保険証を持っていない人には資格確認書が交付され、これを提示して保険診療を受けられます。
健康保険や厚生年金保険の保険料は原則として事業主と被保険者が分担しますが、労災保険の保険料は原則として全額を事業主が負担します。短時間労働者では、勤務先の規模や週の所定労働時間など一定の要件を満たすと健康保険・厚生年金保険の加入対象になります。2026年4月1日時点では月額8万8,000円以上という賃金要件があり、年収換算で約106万円となることから「106万円の壁」と呼ばれます。
社会保険は医療・介護・年金・労災・雇用。受診はマイナ保険証または資格確認書
健康保険で押さえる保険料・扶養・給付
健康保険には、全国健康保険協会が運営する協会けんぽと、健康保険組合が運営する組合健保があります。保険料は標準報酬月額・標準賞与額をもとに計算し、原則として事業主と被保険者が折半して負担します。
被扶養者は、被保険者に主として生計を維持される一定の親族で、収入などの要件があります。年間収入は原則130万円未満で、60歳以上または一定の障害者は180万円未満です。2025年10月1日以後の扶養認定では、19歳以上23歳未満の人は、被保険者の配偶者を除き150万円未満となります。
病気やけがで保険診療を受けると、原則として医療費の一部を自己負担します。1か月の自己負担が所得・年齢に応じた上限を超えたときは高額療養費の対象になります。
業務外の病気やけがで連続3日間を含み4日以上仕事を休み、給与を受けられないなどの要件を満たすと傷病手当金が支給されます。1日当たりの額は、原則として支給開始日前の継続した12か月間の標準報酬月額の平均額を30で割った額の3分の2で、支給期間は支給開始日から通算1年6か月です。
出産時には、一定の要件で1児につき原則50万円の出産育児一時金が支給されます。被保険者本人が出産のために休業し給与を受けられない場合は、原則として出産日(出産が予定日より後の場合は出産予定日)以前42日(多胎妊娠は98日)から出産日の翌日以後56日目まで出産手当金の対象になります。
健康保険の被扶養者の収入要件である原則130万円未満という基準は、いわゆる「130万円の壁」と呼ばれます。収入基準だけでなく、生計維持などの要件も満たす必要があります。健康保険の医療費の自己負担割合は年齢や所得などによって異なります。また、国民健康保険には原則として健康保険の傷病手当金や出産手当金に相当する法定給付はありません。高額療養費は暦月の1日から末日までを1か月として計算し、保険適用外の費用は原則として対象になりません。
傷病手当金は「12か月平均÷30×2/3」、通算1年6か月
退職後の医療保険と後期高齢者医療制度
会社を退職して健康保険の資格を失った後は、主に健康保険の任意継続・国民健康保険・家族の健康保険の被扶養者のいずれかを選びます。
健康保険の任意継続被保険者になるには、退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あり、原則として退職日の翌日から20日以内に申し出ます。加入できる期間は最長2年間で、保険料は原則として全額本人負担です。
国民健康保険は、他の医療保険に加入していない人などが対象で、保険料は所得や世帯の状況などをもとに市区町村等で決まります。健康保険と異なり、原則として傷病手当金や出産手当金はありません。
後期高齢者医療制度は、原則として75歳以上の人が対象です。65歳以上75歳未満でも、一定の障害があり認定を受けた人は加入できます。
任意継続は「2か月以上加入・20日以内申出・最長2年」、後期高齢者は原則75歳以上
公的介護保険の第1号・第2号被保険者
公的介護保険では、第1号被保険者は市町村または特別区の区域内に住所を有する65歳以上の人、第2号被保険者は同じ区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者です。
第1号被保険者は、原因を問わず要介護・要支援認定を受けると介護サービスの対象になります。第2号被保険者は、加齢に伴う特定疾病が原因で要介護・要支援状態になった場合に限られます。
介護サービスの利用者負担は原則1割で、一定以上の所得がある第1号被保険者は2割または3割となります。
第1号=65歳以上、第2号=40歳以上65歳未満の医療保険加入者
労災保険は雇用形態より「労働者か」で見る
労災保険は、仕事中の業務災害や通勤途中の通勤災害による病気・けが・障害・死亡などを補償する制度です。
正社員だけでなく、パート・アルバイトなども労働者であれば原則として対象で、週20時間以上といった加入条件はありません。保険料は全額を事業主が負担します。
事業主や会社役員などは原則として通常の労災保険の対象外ですが、中小事業主や一人親方など一定の人には特別加入制度があります。
労災はパート・アルバイトも対象、保険料は全額事業主負担
雇用保険の基本手当と雇用継続・休業の給付
雇用保険の基本手当は、働く意思と能力があり、求職活動をしている失業者に支給されます。自己都合退職などでは、原則として離職日前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です。倒産・解雇など一定の場合は、原則として離職日前1年間に通算6か月以上で足ります。
受給資格決定後には7日間の待期があります。正当な理由のない自己都合退職で、退職日が2025年4月1日以後の場合は、待期後に原則1か月の給付制限があります。ただし、退職日からさかのぼって5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けている場合は、給付制限が3か月になります。
高年齢雇用継続給付は、一定の要件を満たす60歳以上65歳未満の被保険者が、60歳到達時点などと比べて賃金が75%未満に低下した状態で働く場合に支給されます。
教育訓練給付は、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・修了した場合などに、費用の一部を支給する制度です。一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の3種類があります。
育児休業給付金は原則として休業開始から180日までは休業開始時賃金日額の67%、181日目以降は50%です。一定の要件を満たす出生直後の育児休業では、出生後休業支援給付金13%が加わり、最大28日間は合計80%となります。介護休業給付金は、一定の要件を満たす介護休業について休業開始時賃金日額の67%相当が支給されます。
倒産や解雇などによる離職では、自己都合退職とは基本手当の受給資格要件や所定給付日数などの扱いが異なることがあります。離職理由はハローワークが離職票などをもとに判定します。求職者給付は、失業した人などの生活と再就職を支える雇用保険の給付で、基本手当や技能習得手当、寄宿手当、傷病手当などがあります。再就職手当は、基本手当の受給資格がある人が一定の要件を満たして早期に安定した職業へ就いた場合に支給されます。支給残日数に応じて、残っている基本手当相当額の60%または70%を基に計算します。基本手当の所定給付日数は、離職理由、被保険者であった期間、年齢などによって決まります。自己都合退職と倒産・解雇などでは日数の扱いが異なる場合があります。特定理由離職者には、期間の定めのある労働契約が更新されなかった場合や、正当な理由のある自己都合離職など一定の離職者が該当します。通常の自己都合離職とは基本手当の扱いが異なることがあります。
基本手当は原則「離職前2年に12か月」、自己都合の給付制限は原則1か月
本番の形で解いてみる
実技・資料を読む問題(日本FP協会 2026年5月の公開問題 実技問5と同じ形)
健康保険の任意継続被保険者について、退職により被保険者資格を喪失したAさんが任意継続を希望する場合、資格喪失日の前日までに継続して【ア】以上の被保険者期間があり、資格喪失日から【イ】以内に申し出る必要があるが、【ア】【イ】の組合せとして最も適切なものはどれか。
- 【ア】2か月 【イ】20日
- 【ア】1か月 【イ】14日
- 【ア】6か月 【イ】30日
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正解: 【ア】2か月 【イ】20日
任意継続被保険者となるには、資格喪失日の前日まで継続して2か月以上の被保険者期間があり、資格喪失日から20日以内に申し出ることが必要である。まちがえやすい点: 雇用保険などの手続期限と混同しない。
学科・三答択一式(日本FP協会 2026年5月の公開問題 学科問32と同じ形)
公的介護保険の第2号被保険者は、医療保険に加入している( )の者である。
- 35歳以上60歳未満
- 40歳以上65歳未満
- 45歳以上70歳未満
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正解: 40歳以上65歳未満
公的介護保険の第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である。まちがえやすい点: 65歳以上は第1号被保険者となる。
学科・○×式(日本FP協会 2026年5月の公開問題 学科問2と同じ形)
労働者が合理的な経路および方法で通勤している途中に事故で負傷した場合、労災保険の給付対象となることがある。
正しければ○、誤っていれば×。
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正解: ○
労災保険は業務災害だけでなく、通勤災害についても所定の要件を満たせば給付を行う。まちがえやすい点: 労災保険は勤務中の事故だけを対象とする制度ではない。
この内容を問題で確かめる
読んだところを、問題で思い出してみましょう。
10問を解く →どこから読むかはFP3の勉強の順番(過去の傾向から)にまとめています。試験に出る数字は勉強の順番のページの一覧にまとめています。このページの数字・制度は、2026年4月1日時点の法令などにもとづきます(2026年10月確認)。