FP3級 学習ページ|CH06 相続・事業承継

宅地の評価と小規模宅地等の特例

宅地は利用単位ごとに評価する

相続税・贈与税で宅地を評価するときは、登記上の筆がそのまま評価単位になるとは限らず、原則として利用の単位となっている1画地の宅地ごとに評価します。

宅地の評価方法は、その地域に路線価が定められているかどうかによって、路線価方式と倍率方式に分かれます。

宅地=筆ごとではなく利用単位。評価は路線価方式か倍率方式

路線価方式

路線価方式は、路線価が定められている地域で使う方法です。路線価は、その道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額を千円単位で示しています。

基本は路線価に地積を掛け、奥行価格補正など、その土地の形状や道路との接し方に応じた補正を行って評価します。

路線価方式では、路線価に地積を掛け、必要に応じて奥行価格補正率などの補正率を用いて評価します。

路線価=1㎡当たり・千円単位。面積を掛け、必要な補正をする

倍率方式

倍率方式は、路線価が定められていない地域で使います。

その土地の固定資産税評価額に、評価倍率表の倍率を掛けて評価します。

宅地の評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率

路線価なし→固定資産税評価額×倍率

借地権と貸宅地の評価

普通の借地権は、自用地としての価額に借地権割合を掛けて評価します。

借地権の価額 = 自用地価額 × 借地権割合

土地所有者側の貸宅地は、原則として自用地価額から借地権相当額を差し引きます。

貸宅地の価額 = 自用地価額 ×(1 − 借地権割合)

借地権=自用地×借地権割合、貸宅地=残り

貸家建付地の評価

所有する土地にアパートや店舗などの建物を建て、その建物を他人に貸している場合、その敷地は原則として貸家建付地として評価します。

評価では、借地権割合だけでなく借家権割合と賃貸割合も使います。

貸家建付地の価額 = 自用地価額 ×(1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

貸家建付地の評価。例題: 自分の土地にアパートを建てて満室で貸している。自用地としての評価額1億円、借地権割合70%、借家権割合30%。土地の評価額はいくら? 図: 自用地1億円から、70%×30%×100%(満室)=21%を引いて、評価額7,900万円。式: 自用地×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合) = 1億×(1−0.7×0.3×1) = 7,900万円。こう聞かれたら: 土地を貸しているなら自用地×(1−借地権割合)、建物(貸家)は固定資産税評価額×(1−30%)(賃貸割合も掛ける)、空室があるときは賃貸割合を掛ける。

貸家建付地=自用地×(1-借地権×借家権×賃貸割合)

自用家屋と貸家の評価

自分で使用する自用家屋は、原則として固定資産税評価額で評価します。

他人に貸している貸家は、固定資産税評価額から借家権相当分を差し引きます。

貸家の価額 = 固定資産税評価額 ×(1 − 借家権割合 × 賃貸割合)

土地の貸家建付地の式には借地権割合が入りますが、建物である貸家の式には入りません。

家屋:自用は固定資産税評価額、貸家は借家権割合×賃貸割合を引く

小規模宅地等の特例の限度面積と減額割合

一定の要件を満たす宅地等を相続・遺贈で取得した場合、小規模宅地等の特例により一定面積まで評価額を減額できます。

特定居住用宅地等は330㎡まで80%減額、特定事業用宅地等は400㎡まで80%減額、貸付事業用宅地等は200㎡まで50%減額が基本です。

「80%になる」のは税率ではなく、宅地の評価額から減額する割合です。

小規模宅地等の特例。例題: 妻が相続した自宅の敷地400㎡(評価額8,000万円、1㎡あたり20万円)。特定居住用宅地等として特例を使うと、評価額はいくら減る? 表: 特定居住用(自宅)は330㎡まで80%減、特定事業用(店・工場)は400㎡まで80%減、貸付事業用(アパート)は200㎡まで50%減。図: 400㎡のうち330㎡まで80%減、残り70㎡は減らない。式: 20万×330㎡×80%=5,280万円減る(残り2,720万円)。こう聞かれたら: 自宅・配偶者が取得なら330㎡・80%、アパートの敷地は200㎡・50%、店舗・工場は400㎡・80%。

居住330㎡・80%、事業400㎡・80%、貸付200㎡・50%

複数の宅地に使うときの限度面積

特定事業用宅地等と特定居住用宅地等だけを選ぶ場合は、それぞれ400㎡と330㎡の範囲で併用でき、合計では最大730㎡になります。

一方、貸付事業用宅地等も含めて選ぶ場合は単純に400+330+200㎡とはならず、一定の換算計算によって限度面積を判定します。

この特例を受けるには、原則として相続税の申告が必要です。

事業+居住だけなら最大730㎡。貸付が入ると面積を換算

配偶者居住権も財産として評価する

配偶者居住権が設定された場合も、相続税では財産として評価し、居住建物の相続税評価額のほか、存続年数や法定利率による複利現価率などを用いて計算します。「無償で住めるので価値は0」とはしません。

配偶者居住権にも相続税評価額がある

本番の形で解いてみる

学科・三答択一式(日本FP協会 2026年5月の公開問題 学科問59と同じ形)

普通借地権の目的となっている宅地の自用地としての価額が6,000万円、借地権割合が60%である場合、その普通借地権の評価額は( )である。

  1. 3,600万円
  2. 2,400万円
  3. 6,000万円
答えと解説を見る

正解: 3,600万円

普通借地権は、自用地としての価額×借地権割合で評価するため、6,000万円×60%=3,600万円となる。まちがえやすい点: 1-借地権割合を使うのは土地所有者側の貸宅地の評価である。

実技・資料を読む問題(日本FP協会 2026年5月の公開問題 実技問20と同じ形)

Pさんが相続した宅地 特定居住用宅地等に該当し、小規模宅地等の特例の要件を満たす。相続税評価額は特例適用前の価額である。

内容
地積250㎡
相続税評価額4,500万円
利用状況被相続人の居住用
取得者Pさん

小規模宅地等の特例を適用した場合、この宅地の相続税の課税価格に算入すべき価額として、最も適切なものはどれか

  1. 900万円
  2. 1,125万円
  3. 3,600万円
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正解: 900万円

特定居住用宅地等は330㎡まで80%減額できる。250㎡は限度面積以内なので、4,500万円の20%である900万円を課税価格に算入する。まちがえやすい点: 80%を残すのではなく、80%を減額して20%を残す。

学科・三答択一式(日本FP協会 2026年5月の公開問題 学科問60と同じ形)

小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等は、原則として( )までの部分について80%の減額を受けることができる。

  1. 200㎡
  2. 400㎡
  3. 330㎡
答えと解説を見る

正解: 330㎡

特定居住用宅地等は330㎡まで80%減額できる。まちがえやすい点: 特定事業用宅地等は400㎡、貸付事業用宅地等は200㎡である。

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どこから読むかはFP3の勉強の順番(過去の傾向から)にまとめています。試験に出る数字は勉強の順番のページの一覧にまとめています。このページの数字・制度は、2026年4月1日時点の法令などにもとづきます(2026年10月確認)。