FP3級 学習ページ|CH06 相続・事業承継
相続税の計算と申告
相続税の基礎控除
相続税では、各人の課税価格を合計した金額から遺産に係る基礎控除額を差し引きます。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
法定相続人の数は、相続放棄をした人がいても、放棄がなかったものとして数えます。相続税の計算上、養子を法定相続人の数に入れられるのは、実子がいる場合は原則1人まで、実子がいない場合は原則2人までです。
特別養子、被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子となった人、一定の代襲相続人などは、この養子数の制限では実子として扱われます。
相続税計算上の法定相続人の数に含められる養子は、実子がいる場合は原則1人、実子がいない場合は原則2人までです。
基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人。放棄しても人数に入れる
相続税の総額を計算する流れ
各人の課税価格を合計し、基礎控除額を差し引いたものが課税遺産総額です。
課税遺産総額 = 課税価格の合計額 − 基礎控除額
次に、課税遺産総額を各法定相続人が法定相続分どおりに取得したものと仮定して分け、各人の仮の取得金額に相続税率を適用します。その税額を合計したものが相続税の総額です。その後、相続税の総額を各人が実際に取得した課税価格の割合で配分します。
速算表は、1,000万円以下10%、3,000万円以下15%・控除50万円、5,000万円以下20%・200万円、1億円以下30%・700万円、2億円以下40%・1,700万円、3億円以下45%・2,700万円、6億円以下50%・4,200万円、6億円超55%・7,200万円です。
実際に取得した財産へ直接税率を掛けるのではありません。
相続税の税率は、課税遺産総額を法定相続分に応じて取得したものと仮定した各人の金額に適用します。
課税遺産総額を法定相続分で仮分け → 税率 → 合計 → 実際の取得割合で配る
相続税額の2割加算
相続や遺贈などで財産を取得した人が、被相続人の配偶者または一親等の血族以外である場合は、原則としてその人の相続税額に20%を加算します。
父母や子は一親等の血族なので原則として2割加算の対象ではありません。一方、兄弟姉妹やおい・めいは対象です。孫も原則として対象ですが、被相続人の子が先に死亡するなどして代襲相続人となった孫は対象外です。孫を養子にした場合は、代襲相続人である場合などを除き2割加算の対象になります。
2割加算額 = 税額控除前の相続税額 × 20%
相続税の2割加算は、原則として被相続人の配偶者と一親等の血族以外の人が財産を取得した場合に適用されます。相続税の2割加算では、兄弟姉妹やおい・めいなどが原則として対象となり、相続税額に20%を加算します。
配偶者・一親等は原則加算なし。兄弟姉妹は加算、代襲した孫は加算なし
配偶者の税額軽減と主な税額控除
配偶者の税額軽減では、法律上の配偶者が実際に取得した正味の遺産額が、1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までであれば、原則として配偶者に相続税はかかりません。内縁の配偶者は対象外です。軽減によって税額が0円になる場合でも相続税の申告が必要で、原則として申告期限までに分割されていない財産は対象になりません(分割見込書を出して一定期間内に分割すれば、後から適用できる場合があります)。
暦年課税の贈与財産を相続税の課税価格に加算した場合、その財産についてすでに納めた贈与税があれば、一定額を相続税額から控除します。
法定相続人である未成年者が財産を取得した場合の未成年者控除は、原則として18歳になるまでの年数1年につき10万円です。
未成年者控除額 = 10万円 ×(18歳 − 相続開始時の年齢)
年齢は1年未満を切り捨てて計算します。
配偶者は1.6億円か法定相続分まで。未成年者控除は10万円×18歳までの年数
相続税の申告・納付と延納・物納
相続税の申告と納付は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に行います。被相続人の死亡時の住所が国内にある場合、申告書は原則として被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署へ提出します。遺産分割が終わっていなくても、申告期限は延びません。
相続税は金銭で一括納付するのが原則ですが、税額が10万円を超え、金銭で一時に納付することが困難な一定の場合には、担保などの要件を満たして延納を申請できます。
延納によっても金銭で納付することが困難な場合には、物納を申請できることがあります。物納は相続税について認められる制度で、一定の相続財産を納付に充てます。延納・物納はいずれも原則として納期限までの申請が必要です。
物納は、金銭による一括納付だけでなく延納によっても納付が困難であるなど、一定の要件を満たす場合に認められます。相続税の課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合は、原則として相続税の申告が必要です。相続税の延納期間は、相続財産に占める不動産等の割合などによって異なります。延納には一定の要件があり、自由に分割払いできる制度ではありません。
申告・納付は知った日の翌日から10カ月。原則は現金、難しければ延納→物納
本番の形で解いてみる
実技・資料を読む問題(日本FP協会 2026年5月の公開問題 実技問19と同じ形)
相続税の速算表 表の区分は法定相続分に応ずる取得金額。値は税率・控除額。
| 1,000万円以下 | 10%・0 |
|---|---|
| 3,000万円以下 | 15%・50万円 |
| 5,000万円以下 | 20%・200万円 |
| 1億円以下 | 30%・700万円 |
| 2億円以下 | 40%・1,700万円 |
| 3億円以下 | 45%・2,700万円 |
| 6億円以下 | 50%・4,200万円 |
| 6億円超 | 55%・7,200万円 |
Jさんの相続における相続税の総額として、最も適切なものはどれか
- 750万円
- 700万円
- 900万円
答えと解説を見る
正解: 750万円
相続放棄したMさんも基礎控除の法定相続人の数に含めるため、基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円。課税遺産総額は6,000万円で、法定相続分は妻3,000万円、子は各1,500万円。仮の税額は妻400万円、子各175万円なので、総額は750万円となる。まちがえやすい点: 相続放棄した人も相続税の基礎控除の人数と、総額を計算するときの法定相続分には含める。
学科・○×式(日本FP協会 2026年5月の公開問題 学科問29と同じ形)
相続税額の2割加算は、原則として被相続人の配偶者には適用されない。
正しければ○、誤っていれば×。
答えと解説を見る
正解: ○
相続税額の2割加算は、原則として被相続人の配偶者および一親等の血族以外の者が対象となるため、配偶者は対象外である。まちがえやすい点: 兄弟姉妹などは2割加算の対象となる。
4択の確認問題
相続税の基礎控除に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 相続税の申告は、相続の開始を知った日の翌日から8カ月以内に行う必要がある。
- 相続税の基礎控除額は、5,000万円+1,000万円×法定相続人の数で計算する。
- 相続放棄をした者がいる場合、相続税の基礎控除を計算する際の法定相続人の数には含めない。
- 相続税の基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算する。
答えと解説を見る
正解: 相続税の基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算する。
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数(2015年1月1日以降)。相続放棄をした者も基礎控除計算上の法定相続人の数に含める。相続税の申告期限は相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内。
この内容を問題で確かめる
読んだところを、問題で思い出してみましょう。
10問を解く →どこから読むかはFP3の勉強の順番(過去の傾向から)にまとめています。試験に出る数字は勉強の順番のページの一覧にまとめています。このページの数字・制度は、2026年4月1日時点の法令などにもとづきます(2026年10月確認)。