FP3級 学習ページ|CH05 不動産

不動産を売るときの税金と特例

土地・建物を売った利益は譲渡所得

土地や建物を売ったことによる所得は譲渡所得で、不動産を貸して得る不動産所得とは区別します。土地・建物の譲渡所得は、給与所得などとは分けて税額を計算する分離課税です。

課税譲渡所得金額 = 譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額

取得費には購入代金や購入手数料などが含まれますが、建物は所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。取得費が分からない場合や、実際の取得費が譲渡価額の5%より少ない場合は、譲渡価額の5%を概算取得費とすることができます。

売却=譲渡所得。取得費不明なら売却額の5%を使える

長期か短期かは売った年の1月1日で判定

土地・建物の譲渡所得は、所有期間によって長期と短期に分かれます。判定日は実際の売却日ではなく、譲渡した年の1月1日です。

その日に所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得です。通常の税率は、長期譲渡所得が所得税15%・住民税5%、短期譲渡所得が所得税30%・住民税9%です。所得税には別途、復興特別所得税が加わります。

相続や贈与で取得した土地・建物では、原則として被相続人や贈与者の取得時期を引き継いで所有期間を判定します。

長期譲渡と短期譲渡。例題: 2021年5月に買った土地を、2026年10月に売った。実際に持っていたのは5年5か月。長期譲渡所得と短期譲渡所得のどちら? 図: 年表(目盛りは各年の1月1日)で、買った2021年5月から、売った年の1月1日(2026年1月1日)までを数える。4年7か月で5年以下。答え: 短期譲渡所得。税率(所得税・住民税・復興税)は長期20.315%、短期39.63%。こう聞かれたら: 5年超・5年以下は売った年の1月1日で数える、相続で取得したときは亡くなった人の取得日から数える、実際は5年を超えていても1月1日で数え直す。

長短判定は「売却年1月1日で5年超か」

マイホームの3,000万円控除と軽減税率

自分のマイホームを売って一定の要件を満たすと、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。

以前住んでいた家屋の場合は、原則として住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡する必要があります。

さらに、譲渡した年の1月1日において所有期間が10年を超えるなどの要件を満たす居住用財産では、長期譲渡所得について軽減税率の特例があります。課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分の所得税率は10%です。3,000万円特別控除と軽減税率の特例は併用できます。

マイホームの3,000万円控除。例題: 12年住んだ自宅を7,000万円で売った。取得費は2,000万円、譲渡費用は200万円。3,000万円の特別控除を使った後の譲渡所得はいくら? 図: 売った値段7,000万円を、取得費2,000万円、譲渡費用200万円、3,000万円控除、残り1,800万円に分けた帯。式: 7,000万−(2,000万+200万)−3,000万=1,800万円(10年超なので軽減税率も使える)。こう聞かれたら: 所有期間が短い自宅でも3,000万円控除は使える、所有期間10年超なら6,000万円以下の部分は14.21%、取得費が分からないときは売った値段の5%、配偶者や親子に売ったときは使えない。

3,000万円控除は所有期間不問。軽減税率は1月1日で所有10年超

買換え・空き家・相続税の特例

特定の居住用財産の買換えの特例は、一定のマイホームを売って別のマイホームへ買い換えた場合に、譲渡益への課税を将来へ繰り延べる制度です。非課税になる制度ではありません。2026年4月1日時点では、2027年12月31日までの譲渡が対象で、売った家屋等の所有期間が譲渡年の1月1日に10年を超えること、居住期間10年以上、売却代金1億円以下などの要件があります。特例を使った買換資産の取得費には旧資産の取得費が一定の計算で引き継がれますが、取得時期は引き継ぎません。

相続した被相続人の居住用家屋等を一定の要件で売る空き家の3,000万円特別控除は、2027年12月31日までの譲渡が対象です。控除額は原則最高3,000万円ですが、2024年1月1日以後の譲渡で対象財産を取得した相続人が3人以上の場合は1人当たり最高2,000万円です。売却代金の要件は1億円以下です。

相続税の取得費加算の特例では、相続税が課された財産を一定期間内に譲渡すると、相続税額のうち一定額を取得費に加算できます。譲渡期限は、相続開始日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までです。

買換え=課税の繰延べ。空き家=原則3,000万円。取得費加算=申告期限の翌日以後3年まで

本番の形で解いてみる

学科・三答択一式(日本FP協会 2026年5月の公開問題 学科問54と同じ形)

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除について、譲渡する居住用財産の所有期間は( )。

  1. 10年超であることが必要である
  2. 5年超であることが必要である
  3. 原則として要件とされていない
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正解: 原則として要件とされていない

居住用財産の3,000万円特別控除には、原則として所有期間の長短に関する要件はない。まちがえやすい点: 所有期間10年超は軽減税率の特例で重要となる要件である。

学科・三答択一式(日本FP協会 2026年5月の公開問題 学科問55と同じ形)

一定の要件を満たす居住用財産について、3,000万円特別控除と所有期間10年超の軽減税率の特例は( )。

  1. 一定の場合に併用できる
  2. 必ずどちらか一方しか選べない
  3. 所有期間が20年を超える場合だけ併用できる
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正解: 一定の場合に併用できる

一定の要件を満たせば、3,000万円特別控除と所有期間10年超の居住用財産の軽減税率の特例は併用できる。まちがえやすい点: すべての居住用財産の特例が自由に重複適用できるわけではない。

4択の確認問題

FPの高橋さんは、顧客の渡辺さんから自宅の売却について相談を受けた。下記の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、渡辺さんは自宅(居住用財産)を売却する予定で、所有期間は2024年1月1日時点で8年である。

  1. 居住用財産の3,000万円特別控除の適用を受けるためには、譲渡した年の前年または前々年にこの特例の適用を受けていないことが要件のひとつである。
  2. 3,000万円特別控除と軽減税率の特例(6,000万円以下の部分は10.21%)は重複して適用することができない。
  3. 3,000万円特別控除の適用を受けるためには、売却した相手が配偶者や直系血族でないことが要件のひとつである。
  4. 所有期間が5年超のため、長期譲渡所得として20.315%(所得税・復興税・住民税)の税率が適用される。
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正解: 3,000万円特別控除と軽減税率の特例(6,000万円以下の部分は10.21%)は重複して適用することができない。

居住用財産の3,000万円特別控除と軽減税率の特例(所有期間10年超の居住用財産)は重複して適用することができる(両方を同時に使える)。3,000万円控除で課税譲渡益を計算した後の残額に軽減税率を適用する。

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どこから読むかはFP3の勉強の順番(過去の傾向から)にまとめています。試験に出る数字は勉強の順番のページの一覧にまとめています。このページの数字・制度は、2026年4月1日時点の法令などにもとづきます(2026年10月確認)。