第二種電気工事士 学習ページ

計算2 交流と三相

交流と三相(3本の電線で送る電気。工場の電動機などに使う)の計算は毎回2問ほど出ます。三相は毎回のように出る一方で式は少ないので、Y結線(3つの負荷の片方の端を1点にまとめるつなぎ方)とΔ結線(3つの負荷を三角形の輪につなぐつなぎ方)の電圧・電流の関係を先に固めるのが近道です。

交流の実効値・周期・周波数

正弦波交流(なめらかな波の形で変わる交流)では、家庭や配線でいう電圧・電流はふつう実効値(交流の大きさを、同じ働きをする直流の値で表したもの。100Vは実効値)で表します。最大値は実効値の√2倍、実効値は最大値の1/√2です。周波数fは1秒間の繰返し回数、周期Tは1回にかかる時間です。

V=Vm/√2、Vm=√2V、f=1/T

例題:実効値100 V、周波数50 Hzの正弦波交流なら、最大値は100×1.41=141 V、周期は1/50=0.020 sです。最大値と実効値を逆にしないことが決め手です。

電圧と電流の位相(交流の波の山や谷が来るタイミング)は、抵抗では同じ(同位相)、コイルでは電流が電圧より90°遅れ、コンデンサでは電流が電圧より90°進みます。波形の問題は、電流の山が電圧の山より右(後)にあれば遅れ、左(前)にあれば進みと読みます。

正弦波交流の最大値・実効値・周期。実効値100V、周波数50Hzの正弦波交流。最大値は100×√2≒141V、周期は1÷50=0.020秒

実効値=最大値÷√2、周期=1÷周波数。電流はコイルで90°遅れ、コンデンサで90°進む

抵抗とコイルの直列回路

抵抗RとコイルのリアクタンスXL(リアクタンス=コイルやコンデンサが交流を流れにくくする度合い。単位はΩ)が直列なら、電流を決めるのは単純なR+XLではなくインピーダンス(抵抗とリアクタンスを合わせた、交流の流れにくさ。単位はΩ)Zです。抵抗成分とリアクタンス成分は直角に扱います。力率はZのうち抵抗成分が占める割合です。

Z=√(R2+XL2)、I=V/Z、力率cosφ=R/Z=VR/V、消費電力P=VIcosφ=I2R

例題:R=8 Ω、XL=6 Ω、V=100 Vなら、Z=√(64+36)=10 Ω、I=100/10=10 A、力率=8/10=0.80です。R+XL=14 Ωとはしません。消費電力はP=102×8=800 W(=100×10×0.80)。電源電圧102 Vで抵抗の電圧が90 Vなら、力率は90/102≒0.88です。

抵抗とコイルの直列回路のインピーダンス。R=8Ω、XL=6Ωの直列回路は、直角三角形の斜辺がインピーダンスZ=√(8²+6²)=10Ω。100Vなら電流は10A、力率は8÷10=0.8

直列RLは三平方。Z=√(R2+XL2)、力率=R/Z。

並列回路の電流と力率

純抵抗R(純抵抗=コイルなどを含まない、抵抗だけのもの)と純コイルXL(純コイル=抵抗を含まない、コイルだけのもの)が並列につながる交流回路では、各枝には同じ電圧が加わります。抵抗の電流と純コイルの電流は位相が90°ずれるので、全電流は単純な足し算ではなく三平方で求めます。

IR=V/R、IL=V/XL、I=√(IR2+IL2)、力率=IR/I

例題:V=100 V、R=20 Ω、XL=25 Ωなら、IR=5 A、IL=4 A、I=√41≒6.4 A、力率=5/6.4≒0.78です。5+4=9 Aではありません。消費電力は抵抗の枝だけで決まり、P=V×IR=100×5=500 Wです(コイルは有効電力(実際に消費される電力)を消費しない)。

並列の抵抗電流とコイル電流は直角。全電流は√(IR2+IL2)、消費電力は抵抗の枝のV×IR。

Y結線の線間電圧・線電流・電力

Y結線では、各相の負荷にかかる相電圧(1相分の負荷にかかる電圧)より線間電圧(電線と電線の間の電圧)が√3倍大きく、線電流(電線に流れる電流)と相電流(1相分の負荷に流れる電流)は同じです。平衡した三相負荷なら、三相全体の有効電力は線間電圧と線電流から直接求められます。

VL=√3Vp、IL=Ip、P=√3VLILcosφ=3VpIpcosφ

例題:各相が8 Ωの抵抗で、線電流15 AのY結線なら、Vp=8×15=120 V、VL=1.73×120≒208 V。抵抗負荷なので力率1、P=1.73×208×15≒5.40 kWです(3×152×8=5400 Wでも同じ)。

各相がRとXLの直列なら、相電圧からZで線電流を出します。例題:VL=200 V、R=8 Ω、XL=6 Ωなら、Z=10 Ω、Vp=200/1.73≒115.6 V、IL=Ip=115.6/10≒11.6 Aです。

Y結線の相電圧と線間電圧。各相8Ωの抵抗をY結線し、線電流が15Aのとき、相電圧は8×15=120V、線間電圧は√3×120≒208V。線電流と相電流は同じ

Y結線は線間電圧=√3×相電圧、線電流=相電流。

Δ結線と1線断線の計算

Δ結線では線間電圧と相電圧が同じで、線電流は相電流の√3倍です。1本の電源線が断線した問題では、残る2線から見た負荷の合成抵抗に直して計算します。等しい抵抗RのΔなら、残る2端子間はRと2Rの並列です。

VL=Vp、IL=√3Ip、断線時Req=R||(2R)=2R/3、P=VL2/Req

例題:200 V、各辺60 ΩのΔ負荷で1線が断線すると、Req=40 Ω、P=2002/40=1000 W=1.0 kWです。

Δ結線で1線が断線したとき。各辺60ΩのΔ負荷に200Vを加え、電源線1本が断線すると、残る2端子の間は60Ωと60+60=120Ωの並列になり、合成40Ω。電力は200²÷40=1000W=1.0kW

Δ結線は線間電圧=相電圧。1線断線後はRと2Rの並列に組み替える。

Y結線で1相が断線したときの電圧

中性線(単相3線式やY結線の真ん中から出る線)のないY結線で1相が断線すると、中性点(Y結線で3つの負荷をまとめた点)の電位が移動します。3相が等しい抵抗で、1枝だけ切れた場合、残った2個の抵抗が線間電圧に対して直列になり、同じ抵抗なら電圧を半分ずつ受け持ちます。

断線前Vp=VL/√3、断線後の残存各相電圧=VL/2

例題:線間電圧200 Vなら、断線前の相電圧は200/1.73≒116 V。1相断線後は残る同じ抵抗2個の直列なので、各抵抗の電圧は200/2=100 Vです。断線後も116 Vのままではありません。

中性線なしYの1相断線:断線前はVL/√3、残る2相は同抵抗ならVL/2。

進相コンデンサによる力率改善

誘導性負荷に進相コンデンサを並列接続すると、遅れ無効電流の一部をコンデンサの進み電流で打ち消し、電源から流れる電流を小さくできます。負荷の有効電力そのものを増減させる目的ではありません。

単相ではI=P/(Vcosφ)、力率1まで改善したときI=P/V

例題:200 Vで有効電力1.6 kW、力率0.80の負荷なら、改善前I=1600/(200×0.80)=10 A。力率1.00ならI=1600/200=8 Aとなり、電流は2 A減ります。

進相コンデンサは力率を改善し、同じ有効電力なら電源電流を減らす。

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どこから読むかは第二種電気工事士の勉強の順番(過去の傾向から)にまとめています。このページの数値・基準は、2026年4月1日時点の電気設備技術基準・同解釈・電気工事士法などにもとづきます(2026年10月確認)。