ITパスポート 学習ページ|ストラテジ系・企業と法務
企業活動・経営組織とIT活用
企業活動では、経営資源をどう使うか、組織をどう構成するか、ITをどう経営や社会課題の解決につなげるかが問われます。似た用語は目的や対象の違いから整理します。
経営資源と企業の方向性
企業は、ヒト、モノ、カネ、情報などの経営資源を組み合わせて事業を行います。限られた資源を目的に合わせて配分し、成果につなげることが経営では重要です。
企業の存在意義や果たす役割を示すものをミッション、将来どのような姿を目指すかを示すものをビジョンと呼びます。MVVでは、ミッション、ビジョン、行動や判断の基準となるバリューを組み合わせて企業の方向性を示します。
ミッションは将来の数値目標そのものではなく、企業が何のために存在するかという方向性を示すものです。
ミッションは存在意義、ビジョンは目指す姿
企業と社会の関係
企業は株主や従業員、顧客、取引先、地域社会など多くの関係者と関わっています。このような企業活動の影響を受けたり、企業に影響を与えたりする関係者をステークホルダといいます。
企業が利益だけでなく、環境や人権、地域社会などへの影響も考えながら責任ある活動を行う考え方がCSRです。CSRは企業が社会の一員として果たす責任に関する考え方です。
企業が重要な経営情報などを外部へ適切に開示することをディスクロージャーといいます。環境負荷や社会への影響に関する情報が開示対象になる場合もあります。
CSRは企業が社会に対して負う責任
PDCAとOODA
継続的な業務改善では、計画、実行、評価、改善を繰り返すPDCAが用いられます。計画した内容と実績を比べ、次の改善へつなげていく考え方です。
状況の変化が速い場面では、観察、情勢判断、意思決定、行動を素早く回すOODAループという考え方もあります。PDCAは計画から始める改善サイクル、OODAは状況を観察して判断するところから始める点を区別します。
経営管理には財務、資産、人事、情報などの管理も含まれます。目標を定めて結果を確認し、必要に応じて資源配分や方法を見直します。
PDCAは計画起点、OODAは観察起点
事業を続けるための管理
災害や事故、システム障害などが起きても重要な事業を継続し、停止した場合には早期復旧できるよう準備する計画をBCPといいます。優先する業務、代替手段、復旧方法などを事前に検討します。
BCPを策定して終わりにせず、訓練や見直しを継続しながら事業継続能力を管理する活動がBCMです。BCPは計画、BCMはその計画を維持・改善するマネジメント活動と整理します。
リスクへの対応を考える際には、発生する可能性や影響などを評価するリスクアセスメントも行います。
BCPは計画、BCMは継続的な管理
人材を育て活かす
職場で実務を通じて指導する方法をOJT、職場を離れた研修などで学ぶ方法をOff-JTといいます。オンライン教材などを使った学習はeラーニングとして利用されます。
デジタル化など事業環境の変化に対応するため、新しい職務に必要な知識や技能を学び直すことをリスキリングといいます。単なる復習に限らず、仕事の変化に対応して新しい能力を身に付ける考え方です。
学習履歴や理解度などを基に、学習者ごとに教材や難易度を調整する仕組みをアダプティブラーニングといいます。人材データを活用するHRテックなども人材管理に利用されます。
OJTは実務内、リスキリングは新能力の習得
機能別と事業部制
機能別組織は、営業、製造、人事、経理など専門機能ごとに部門を分ける組織です。同じ専門分野の知識や人材を集約しやすい特徴があります。
事業部制組織は、製品や地域などの事業単位ごとに組織を分け、それぞれに一定の権限や責任を持たせる形です。事業ごとの意思決定を速め、採算責任を明確にしやすいことが特徴です。
機能別組織は仕事内容で分け、事業部制は製品・市場など事業単位で分けると整理します。
機能別は専門機能、事業部制は事業単位
横断組織とマトリックス
特定の目的を達成するために複数部門から人材を集め、一時的に編成するものがプロジェクト組織です。目的を達成すると解散する形を取ることがあります。
マトリックス組織では、機能別組織と事業別・プロジェクト別など複数の組織軸を組み合わせます。一人の従業員が複数の管理系統に関わることがあり、調整が必要になる点が特徴です。
プロジェクトは目的別の横断組織
CxOの役割
経営上の特定領域に最高責任者を置く役職の総称としてCxOがあります。CEOは企業経営全体、CIOは情報戦略や情報システムなどに関する最高責任者です。
技術戦略や研究開発など技術面の経営を担う役職としてCTOがあります。情報ならCIO、技術ならCTOという担当領域の違いを押さえます。
CFOは財務、COOは業務執行などを担当します。略称を文字だけで暗記するより、どの経営資源や活動に責任を持つ役職かで整理すると判断しやすくなります。
CIOは情報、CTOは技術の最高責任者
データとAIが変える社会
コンピュータの処理能力向上や多様なデータの蓄積によって、大量のデータを分析して意思決定へ生かしやすくなっています。AIの進化も、製品やサービス、働き方などに変化をもたらしています。
経験や勘だけでなく、収集したデータを分析して判断やサービス改善に活用する社会をデータ駆動型社会と表現します。データを集めること自体ではなく、分析して意思決定や価値創出に利用することがポイントです。
人間が目的や課題を設定し、AIやデータ分析を道具として活用する場面も増えています。AIの出力をそのまま受け入れるのではなく、目的に照らして判断することも重要です。
データは分析して意思決定や価値創出に使う
DXで事業そのものを変える
DXは、デジタル技術やデータを活用して、業務の一部を電子化するだけでなく、製品、サービス、業務プロセス、組織やビジネスモデルなどを変革して競争力や価値を高める考え方です。
紙の申請書をそのまま電子ファイルに置き換えるだけでは、DXとはいえません(単なる電子化はデジタイゼーションと呼ばれます)。デジタル技術によって事業や顧客価値のあり方まで変えることがDXの中心です。
IoT、AI、ロボットなどを活用して産業の仕組みを高度化する流れは、第4次産業革命とも関連します。デジタル技術によって既存の市場構造が大きく変わる現象もあります。
DXは単なる電子化でなく事業や価値を変革
Society5.0と社会課題
Society5.0は、サイバー空間と現実空間を高度に結び付け、データやAIなどを活用して社会課題の解決と経済発展の両立を目指す考え方です。
人口構造の変化、地域格差、エネルギー、教育などの課題に対して、データやネットワークを使った新しいサービスが役立つ場合があります。ITは効率化だけでなく、社会課題の解決や新しい価値の創出にも利用されると理解します。
脱炭素に向け、エネルギーや産業構造を変革する取組はGXと呼ばれます。DXがデジタルによる変革を示すのに対し、GXは環境・エネルギー面の変革に重点があります。
Society5.0はITで社会課題と経済発展を両立
本番の形で解いてみる
基本の問題(このページのために作った問題・本番と同じ四肢択一)
企業が製品別に組織を分け、それぞれに売上や利益についての責任と一定の意思決定権限を持たせた。この組織形態として最も適切なものはどれか。
- 機能別組織
- 事業部制組織
- プロジェクト組織
- マトリックス組織
答えと解説を見る
正解: 事業部制組織
製品などの事業単位ごとに組織を分け、採算責任を持たせるのは事業部制組織です。
まちがえやすい点: 機能別組織は営業や経理など専門機能ごとに分けます。
基本の問題(このページのために作った問題・本番と同じ四肢択一)
デジタルトランスフォーメーションの取組として最も適切なものはどれか。
- 紙の申請書を電子データ化し、従来と同じ業務手順で利用する
- AIと顧客データを活用してサービス内容や提供方法を見直し、新しい収益モデルを作る
- 既存業務を変えずに、社内サーバをクラウド環境へ移行する
- 紙の帳票をスキャンして保存し、保管場所だけを削減する
答えと解説を見る
正解: AIと顧客データを活用してサービス内容や提供方法を見直し、新しい収益モデルを作る
DXはデジタル技術やデータを活用し、サービスや業務、ビジネスモデルそのものの変革につなげる取組です。単なる電子化やシステム移行だけでは変革を伴わない場合があります。
まちがえやすい点: デジタル化したかではなく、事業や業務の変革まで生じているかを見る。
基本の問題(このページのために作った問題・本番と同じ四肢択一)
企業の情報戦略や情報システムに関する経営上の最高責任者を表す役職はどれか。
- CEO
- CIO
- CTO
- CFO
答えと解説を見る
正解: CIO
CIOは情報戦略や情報システムなど情報分野の最高責任者です。
まちがえやすい点: CTOは主に技術戦略や研究開発など技術分野を担当します。
この内容を問題で確かめる
読んだところを、本番と同じ四肢択一の10問セットで思い出してみましょう。
ITパスポートの問題を解く →このページの内容は、IPA「ITパスポート試験 シラバス Ver.6.5」(2026年1月公表)の範囲にもとづきます(2026年10月確認)。