基本情報技術者 学習ページ|科目A・法務
労働と取引の法規
業務委託やソフトウェア利用では、契約の形と実際の指揮命令関係を区別して考える必要があります。労働時間制度、派遣と請負、民法上の契約、ライセンスの違いを整理します。
労働時間制度を区別
36協定は、法定労働時間を超える時間外労働や法定休日の労働を行わせるために、使用者と、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)とで締結し、労働基準監督署長へ届け出る協定です。協定を結べば時間外労働が無制限になるわけではなく、上限規制などのルールに従います。
フレックスタイム制では、清算期間の総労働時間などを定め、労働者が各日の始業・終業時刻を自主的に決めます。裁量労働制は対象業務について実労働時間ではなく定めた時間を働いたものとみなす制度で、両者は仕組みが異なります。
36協定、フレックス、裁量労働制を混同しない。
派遣と請負の違い
労働者派遣では、派遣元と労働者の間に雇用関係があり、派遣元と派遣先の間に労働者派遣契約があります。仕事上の指揮命令は派遣先が派遣労働者に対して行う点が重要です。
一方、請負では、請負業者が仕事の完成を引き受け、注文主が請負業者の労働者へ直接指揮命令する関係ではありません。契約名が請負でも、実態として注文主が直接指揮命令していれば、偽装請負が問題となり得るため、実態で判断します。
派遣は派遣先が指揮命令、請負は注文主が直接指示しない。
請負と準委任
民法上の請負契約は、仕事を完成させることを約し、その仕事の結果に対して報酬を支払う契約です。完成させるべき仕事が契約の中心になるため、成果物や完成状態を明確にする開発契約などで用いられます。
準委任契約は、法律行為ではない事務の処理を委託する契約で、請負のような仕事の完成そのものを目的としません。成果物の完成責任の有無は両者を見分ける代表的な観点ですが、実際の契約では業務内容や義務を具体的に確認します。
請負は仕事の完成、準委任は事務処理の遂行が中心。
利用範囲で分ける契約
ボリュームライセンスは、多数の利用権をまとめて契約する形で、組織内で複数台へ導入するときなどに使われます。サイトライセンスは、契約で定めた拠点や組織など一定の範囲で利用を認める形です。
CALは、サーバ製品などへアクセスするクライアント側の利用権を表す考え方です。シュリンクラップ契約は、包装の開封などを契約条件への同意と結び付ける形を指します。名称が似ていても、許諾される対象や範囲を確認します。
ライセンスは台数・拠点・アクセス権などの範囲で区別する。
配布条件を見分ける
フリーソフトウェアは、利用・改変・再配布などの自由を利用者に認めるソフトウェアを指す場合と、無償で使えるソフトウェア(フリーウェア)を指す場合があります。どちらも著作権が放棄されているとは限らず、利用条件に従う必要があります。シェアウェアは試用後の継続利用などで料金の支払いを求める形が代表例です。
GPLは、改変物などを配布する場合に、対応するソースコードの提供など同ライセンスの条件を求める代表的なコピーレフト型ライセンスです。LGPLはGPLより条件が緩和され、ライブラリとして他のプログラムから利用しやすい形になっています。
無償かどうかと、改変・再配布の許諾条件は別に確認する。
本番の形で解いてみる
科目Aの形: 四肢択一(このページのために作った問題)
A社はB社にシステム運用支援を委託した。B社の担当者はB社の管理者から作業指示を受け、A社は担当者へ直接指揮命令しない。契約は一定の事務処理を適切に行うことを目的とし、特定の成果物を完成させる義務は定めていない。この契約として最も適切なものはどれか。
- 労働者派遣契約
- 請負契約
- 準委任契約
- 雇用契約
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正解: 準委任契約
A社からB社担当者への直接の指揮命令がなく、特定の仕事の完成ではなく事務処理の遂行が目的なので、準委任契約です。労働者派遣なら派遣先のA社が指揮命令し、請負なら仕事の完成が契約の中心になります。
まちがえやすい点: 委託先の担当者が作業をしていても、完成責任と指揮命令関係を確認せずに派遣や請負と決めない。
科目Aの形: 四肢択一(このページのために作った問題)
労働時間制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 裁量労働制では、清算期間の枠内で労働者が各日の始業・終業時刻を自主的に決める
- フレックスタイム制では、清算期間の枠内で労働者が各日の始業・終業時刻を自主的に決める
- フレックスタイム制では、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定めた時間を働いたものとみなす
- 36協定を締結して届け出れば、時間外労働の上限は労使で自由に決められる
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正解: フレックスタイム制では、清算期間の枠内で労働者が各日の始業・終業時刻を自主的に決める
フレックスタイム制は、清算期間の総労働時間などを定め、その枠内で各日の始業・終業時刻を労働者の決定に委ねる制度です。36協定にも上限規制があり、裁量労働制は対象業務や手続が定められています。
まちがえやすい点: フレックスタイム制と、みなし労働時間を用いる裁量労働制を取り違えない。
科目Aの形: 四肢択一(このページのために作った問題)
ソフトウェアの利用許諾に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ボリュームライセンスは、複数の利用権をまとめて契約する形である
- サイトライセンスは、サーバ製品へアクセスするクライアントごとに利用権を与える形である
- CALは、契約で定めた拠点や組織の範囲で、台数を問わず利用を認める形である
- シュリンクラップ契約は、多数の利用権をまとめて購入して単価を下げる形である
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正解: ボリュームライセンスは、複数の利用権をまとめて契約する形である
ボリュームライセンスは、多数の利用権をまとめて契約する形です。サイトライセンスは一定の拠点などでの利用範囲、CALはサーバ製品などへのアクセス権、シュリンクラップ契約は包装の開封などを同意とみなす形に関係します。
まちがえやすい点: ボリュームライセンス、サイトライセンス、CALは、何を単位に利用権を与えるかが異なる。
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基本情報技術者のページへ →このページの内容は、IPA「基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2」(2026年1月公表)と試験要綱Ver.5.6の範囲にもとづきます(2026年10月確認)。IPAは2027年度春ごろから新しい試験制度に移る予定です。